認知症と時間の概念

社長ブログ
認知症と時間の概念
認知症が進行した人が、食べ物を3分茹でるはずが、30分たってしまったということがあります。

認知症になると、時間の感覚が歪む為、30分を3分という感覚で捉えてしまうのです。しかし、本人にとっては、30分は3分の感覚なので、なぜ?と混乱してしまうこともあるのです。

ここで質問です。皆様は、時間とはなんだと思いますか?
例えば、レストランに18時に行って、2時間料理とお酒を楽しんで、20時にお店を出ようと考えたとします。この時間は、一体、どこにどの様に存在しているのでしょうか?

18時というと、夕方だなとか2時間というと映画1本ぐらいかな、あるいは、実際に時計を確認して、2時間たったななど時間を何かに置き換えて考えることはできますが、時間そのものを我々は掴むことはできません。

時間は目に見えないし、頭の中で感じるだけで、実際に重いとか軽いとか物理的に感じることはできません。

時計は、一定のリズムで動くことを活用した単なる時間の目印にすぎなく、時間そのものではありません。

実は時間は、相対的なもので時間そのものは存在しないとも言えるのです。

人間は勝手に時間という事を勝手に考えているだけで、宇宙に時間が存在しているわけではないのです。

人間は、時間を様々な形で置き換えて、自分の感覚や思考に実は取り込んでいるのです。

過去、現在、未来という事を記憶力(過去)や想像力(未来)を使って考えたり、3分という時間を、他の作業にかかる時間に置き換えて考えたり、朝、昼、夕方、夜などを太陽や月の動きなどで、イメージを持ったりしています。

人間の頭の中に時間のイメージはありますが、時間そのものは存在しないのです。人間は、常に時間を何かに置き換えて考えているのです。

認知症の周辺症状である徘徊は、過去と現在と未来の区別がつかなくなった状態です。

徘徊は、目的を持たずに歩き回る状態と誤解されていますが、実は本人にとっては目的があるのです。

過去に完了したという時間の感覚が失われているので、今やらなくてはならないもしくは、これからやらなくてはいけないと感じるのです。

なので、過去に娘を迎えに行ったということが現在の感覚となり、今、娘を迎えに行かなくてはということになるのです。

もともと時間は人間が勝手に置き換えて考えた、架空のものなので、置き換えて考えることができなくなると、時間そのものが本人から消えてなくなります。

認知症によって、人間の時間を何かに置き換えする力が低下すると、大幅な時間のズレが起きます。次にさらに認知機能の低下が進むと、置き換えすることもできなくなり、時間の概念がなくなります。そこで、過去と現在と未来が一緒になるわけです。

時間を当たり前と感じている我々からすると、不思議な感覚ですが、置き換えができなくなると、時間そのものは何も働きかけてくれないので、本人の時間の感覚はどんどんなくなります。

認知症が進んで、最終段階になると、本人から時間がなくなる状態になるわけです。全ての人間の社会生活は、時間を基盤にしているので、生活ができなくなる、ということにもなります。

時間がわからないのではなく、時間がなくなっていくと理解すると、認知症の人の気持ちがわかるかもしれませんね。
そして、我々自身も含めて、深い意味で考えると、実は、時間そのものは存在しない、という事を理解すると、固定概念から脱却されると思います。



写真は、以前大阪で、学生時の後輩が経営している大型お好み焼き屋チェーンのお店に、同じ学生時の友人達と行ってたときの写真です。